乾癬の治療(ステロイドや光学、生学療法)

乾癬治療には、紅斑の炎症を抑えることや皮膚の異常サイクルを抑えたりと、いろいろな治療方法があります。

病院での治療だと主に薬物(内服、外用)療法、光線療法、生学療法に分けられますが、これらは対処療法であって乾癬を根本から治すことではないのが注意点です。

皮膚科での乾癬治療と、生活習慣改善の両面で乾癬の症状を抑えていきましょう。

目次

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乾癬の治療方法

乾癬の治療方法は様々で、これがズバリ効くというものはありません。

それぞれに合った治療方法や、症状の範囲や状況に合わせて対処を変えていく必要があります。

一般的なのは外用の塗り薬ですが、ステロイドは副作用が気になるので定期的な仕様はおすすめできません。

以前は光学療法が用いられることが多かったようにも思いますが、現在は生学療法が効果的とされて伸びてきている印象です。

それでは順々に見ていきましょう。

乾癬の内服療法

乾癬には内服での治療も用いられます。飲み薬ですね。

ビタミンA誘導体のチガソンやレチノイドは紅斑や鱗屑を抑える効果がありますが、副作用としてくちびるの渇きや手のひらの皮膚が薄くなったりします。催奇性もみられるため、妊娠中の女性にはおすすめできません。

免疫抑制薬のシクロスポリンは、免疫を抑えることにより乾癬や魚鱗癬などの角化症に効果を示しますが、副作用として肝障害、腎障害、高血圧が見られます。

内服は他の治療方法とも合わせて行うこともありますが、副作用なども気になるために様子を見つつという傾向があります。

乾癬の外用療法

内服よりも外用薬(塗り薬)での治療が一般的で、外用薬はステロイド外用薬、ビタミンD外用薬が主に使われます。

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ステロイド外用薬

ステロイドは乾癬の症状改善に大きな効果を発揮しますが、副作用が気になるので一時的な使用に留めておきたいところです。

定期的なステロイド使用をしたり、症状が出たらステロイドを使うということを繰り返していると、副作用だけではなく、原因を解決していない乾癬そのものの悪化ともなってしまうので注意してください。

ステロイドは人の副腎から分泌されるホルモンで作られ、白血球の活動や血管の拡張を抑えることで皮膚の炎症を軽減する働きがあります。

ステロイド吸収量は部位によって違い、塗り方と使用量を正しく把握しながら使用しなければなりません。
具体的な部位別吸収率は、腕を1だとすると、頭皮3.5、ひたい6.5、ほほ13、首6、わき3.6、背中1.7、腕内側1、腕外側1.1、手のひら0.83、陰部42、足首0.42、足の裏0.14といった割合です。

部位によってステロイドの強さを変えなければ、副作用に悩まされることになるので注意が必要でしょう。

ステロイドの副作用として、

  • 皮膚が薄くなる
  • 毛細血管拡張で血管が浮き上がる
  • 副腎の正常な働きを抑制する
  • 効果が薄くなる

などが考えられます。ステロイドは、慎重に使用しなければなりません。

ビタミンD外用薬

ビタミンD3外用薬には、免疫反応を調節する働きや表皮の細胞の増殖を抑える働きがあり、表皮細胞が異常な速さで増殖している乾癬の皮膚を正常なサイクルに導く効果があります。

ステロイドに比べると効果が現れるのは比較的遅めですが、鱗屑や皮膚の盛り上がりの乾癬の症状改善が期待できます。

副作用としては、のどの渇き、脱力感、食欲不振などが見られますが、ステロイドほどの強い副作用は生じません。

とりあえずはビタミンD3外用薬での症状改善を見るというケースも多いように思います。

光学療法

乾癬には、紫外線の免疫の働きを弱める作用が有効だと考えられていて、光源ランプを用いて紫外線を皮膚に直接照射する治療法が用いられます。

太陽からの紫外線には有害な波長も含まれていますが、治療に使われるのは光源は、中波長紫外線(UVB)に含まれる有害な波長を取り除き、治療効果が高い波長のみを使うナローバンドUVB療法が一般的です。

光学療法は、乾癬病変の範囲が大きくて、塗り薬を塗るのが大変な場合でも全身に照射を行うことが可能なのがメリットです。

また、外用療法で良くならない一部の皮疹にだけ照射したりするなどの治療も行なうことができるのもいい点ですね。

一般的な照射頻度としては、1回5~7分、外来で週2~3回、入院で週4~5回、20回を1クールとして治療が行われます

紫外線は太陽光に含まれていますので、病変に日光を浴びることもおすすめされていますが、太陽光には有害な作用もありますので日光浴は適度な程度がいいでしょう。

生学療法

近年、乾癬の治療効果が期待されているのが生物学的製剤による治療です。

生物が作り出すタンパク質をもとに作られた生物学的製剤で、皮下注射と点滴の2種類があります。

免疫機能に関わるTNF-αやIL12/23といったサイトカインと呼ばれる、細胞増殖などの指令を伝える物質があり、これがなんらかの原因で過剰に増えることで炎症は起きてしまいます。

乾癬患者さんにはそのサイトカインが多く存在していて、乾癬の発症に関与していると考えられています。

生物学的製剤はこのサイトカインに働きかける治療法なんですね。

製剤によって若干の差はありますが、どの薬剤も高い効果を上げる傾向で、これまでの治療では効果が得られなかった患者さんにも効果を発揮する治療方法として期待されています。

ヒュミラ レミケード ステラーラ
標的物質 TNF-α TNF-α IL12/23
投与方法 皮下投与 点滴 皮下投与
投与時間 1分以内 2~3時間 1分以内

しかし、生物学的製剤も全ての患者さんに効果があるとは限りません。

感染症などの副作用が現れることもあり、長期的投与の影響についてはまだ不明な点も多いのが難点です。

これはこれからの研究や進展に大きな期待したいところです。

乾癬は再発する?

病院での乾癬治療によって一時的に症状が治まったものの、乾癬が再発するというのはよく耳にすることです。

これは、表面上のケアだけをしていては、乾癬を発症しやすい体質が改善できていないからだと考えられます。

生活習慣や体質を改善しなければ、乾癬症状が皮膚表面に出てくるのは時間の問題と言ってもいいでしょう。

体質を変えて、乾癬そのものを遠ざけることが重要です

病院の治療によって感染症状が出ていない時は、ストレスが抑えられる面も大きいので、その間にどんどんと体質改善を進めていきましょう。

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まとめ

乾癬の治療については進歩している部分も多いですが、まだ原因がはっきりとしていないために治療にも不明な点も多いです。

そしてそれぞれの治療法にはメリットだけではなくデメリットも存在するので慎重に治療法を選択しなければ、一旦症状が治まっても再発や悪化の可能性も大いにあります。

対処療法だけではなく乾癬の原因を考え、根本から治すということが重要になってきますね。

病院での治療と合わせて、体質改善での長期的な乾癬治療に取り組んでいきましょう。

乾癬治療方法と完治への道はこちらでまとめていますので、合わせてぜひご参考ください。

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