
乾癬の症状は皮膚だけではなく爪に及ぶこともあり、これを爪乾癬と呼びます。
爪乾癬の患者数は乾癬全体の20~30%程度で、少なくない数字となっています。
ただ、軽い症状が爪に及ぶということだけなら80%ともいわれています。こうなると、割合としては大きい数字ですね。
爪乾癬の症状
爪乾癬の症状は爪の表面の混濁、変色、点状の凹み、線状の凹み、点状出血、爪の肥厚、角質増殖が見られます。
わかりやすく書くと、爪の下の皮膚が盛り上がったり、爪が波打つようにガタガタになったり、斑点状のくぼみができたり、爪が崩れたような見た目になります。
そして最終的には、爪がはがれ落ちるほどの症状になってしまうこともあります。
基本的には、乾癬症状が皮膚と爪のどちらに出ているかの違いで、角質の異常サイクルによる見た目の変化という根本は変わりません。
また、爪乾癬には乾癬性関節炎を伴うことも多いのが注意してほしい点です。
爪水虫との違い
爪乾癬と似ている症状に爪水虫がありますが、これは原因が全く違います。
爪水虫と爪乾癬の症状は、どちらも爪が白濁して表面がはがれ落ちていきますが、爪水虫は細菌性なので症状がうつります。うつらない乾癬とはここが大きく違うんですね。
関連記事乾癬はうつる?見分け方としては、爪乾癬は両足に現れることが多く、爪水虫は片足に現れることが多いという点です。また、指に紅斑がある場合は爪水虫の可能性は低いでしょう。
皮膚科で検査をすると白癬菌の有無で水虫はすぐにわかりますので、できるだけ早めに検査してみることをおすすめします。
爪乾癬の原因
はっきりとした爪乾癬の原因はわかっていませんが、基本的には乾癬が皮膚と爪のどちらに出ているかの違いなので、角質の異常サイクルが原因です。
悪性因子も個人差があるので、ご自身の悪化と軽快の傾向を見ていくのが原因究明に効果的でしょう。
爪と皮膚の違いはほぼ同じと考えて乾癬自体の原因を考えるのが改善への近道だと思います。
爪乾癬の治療
爪乾癬の治療は少し難しいのも現実です。
皮膚は比較的薬物治療もしやすいのですが、爪の深部までは薬物が効きづらく、爪乾癬だけの症状改善は難しいです。
外用塗り薬(ステロイド、ビタミンD等)、内服薬(シクロスポリン、ビタミンA等)、光学療法(ナローバンドUVB療法等)、生学療法(ヒュミラ、レミケード等)などで乾癬自体の治療をしつつ、爪乾癬の完治も目指すことになります。
薬物治療だけではなく、合わせて食事療法も並行していくのが長期的な改善に繋がっていくことでしょう。
爪は皮膚の一部
そもそも爪というのは皮膚の一部です。
爪は皮膚表皮の角質層が角化してできているもので、硬ケラチンと呼ばれるタンパク質でできています。
角質ということは乾癬の影響が出てしまうということですね。
角質のターンオーバー日数は、皮膚が2~4週間、爪は3~4か月とかなりの差がありますが、これは乾癬症状にも影響し、爪の場合は皮膚よりも入れ替わりに時間がかかるということになります。
まとめ
爪乾癬は、乾癬の症状が皮膚だけではなく爪にまで及んだと考えられます。
症状はわかりやすいので、爪に異変があった場合は検査をしてみることをおすすめします。
爪に異変があっても爪水虫の可能性もあり、白癬菌の有無で治療が乾癬とは根本的に異なりますので適切な処置で悪化を防ぎましょう。
爪乾癬は乾癬なので移ることはありませんが、治しにくいのでじっくりとした根気的な治療が必要です。
それぞれの悪化原因も違ってくるので、それぞれの悪化はどんなことが原因かを考えていきましょう。
乾癬治療方法と完治への道はこちらでまとめていますので、合わせてぜひご参考ください。